01

この世界に来て初めて知り合ったゾロアーク……もとい紫闇と連れ立って歩く。

今いる場所はカノコタウンという小さな町。

目的はそこにあるポケモン研究所に行くことだ。

『自分で"人間が嫌いだ"とか言っておいて、わざわざ連中の集まる場所に行くとか正気を疑うな』

「そう言われてもね……。
私だって本当は行きたくないけど、自分の状況を把握するにはその方が都合が良いから」

ポケモンに道聞いて回ってるところを見られでもしたら、何て言われるか分からないし。

白髪の娘に色違いのゾロアークが揃って歩いていれば目立つだろう。

現に町の住民たちの視線は私と紫闇に向けられている。

多方面から様々な視線が向けられ続けていると言うのは、とても居心地が悪かった。

「それに、研究所に向かってるのは紫闇のためでもあるんだよ?」

『何?』

「トレーナーはモンスターボールっていうのを使うんでしょ?
一緒に歩くよりも、ボールの中に入ってもらった方が私も安心できるし」

紫闇のことだから、"人間の作った道具になんざ死んでも入らん"くらいは言いそう。

でもそこは彼の身の安全のためにグッと我慢して欲しい。

『ハッ、俺が人間の作った物に頼ると思うのか?
……と、言いたいところではあるがな』

「うん……。ん?」

あれ、もしかして納得してくれるのかな。

私はそうしてくれると、とてもありがたいけれど。

『不本意なのは変わらん。だが姿を晒さなくて良いのは都合が良い』

「そっか」

やがて町の中でも一際大きな建物が見えてくる。

"アララギ研究所"と書かれた看板を確認し、私たちは足を踏み入れた。


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