05
「ハァ……最低だね、アンタ」
「あん?」
『……は?』
こいつ……今"最低"って言ったのか?
「これだから密猟者ってやつは大嫌いだよ。命を命とも思えない、思わない!
ポケモンは商品じゃない。人間に無理矢理従わせる奴隷でもない!
アンタらはポケモンを……"命"を何だと思ってるわけ!?」
ハンターを思い切り睨み付け、吐き捨てるように怒号を飛ばしたこいつに俺は唖然とした。
何でそこで怒る? 人間にとって、ポケモンは金儲けのための道具だろ?
それなら何で……俺を守るように立ち塞がってる?
「ハッ! 何を言い出すかと思えば、うるせぇ小娘だぜ。
ゾロアークを渡さねぇなら、力づくで奪うまでよ!
バルジーナ、悪の波動!」
バルジーナが繰り出した悪の波動が、俺に向かって真っ直ぐ飛んでくる。
まだ体力が回復していない今、回避すら困難だ。
(……クソッ、動けねぇ!)
その時、何者かが俺の上に覆い被さる。
身体に伝わる衝撃と同時に、くぐもった声が耳に届いた。
チラリと横目で見やる。俺に覆い被さっているのは、あの人間の女だった。
『お前、何の真似だ……!?』
「……つ、ぅっ……。大丈夫、ゾロアーク……?」
何故だ、何故お前は俺を守ろうとする? 自分の身を呈してまで、俺を庇う?
「どけ、小娘! ゾロアークを渡せ!」
「どかない! アンタみたいな奴に、ゾロアークは絶対に渡さない!」
「チッ、うるせぇ上に強情ときたか……。
まぁ良い、こうなったらまとめて捕まえてやる。
よく見ればなかなかの上玉だ。てめぇもさぞ高く売れるだろうぜ!」
『……かげ、……に……。……いい加減にしやがれ!』
傷の癒えない身体に鞭を打ち、渾身の力で悪の波動を叩き込む。
バルジーナが倒れ、乗り物も大破されたハンターは捨て台詞を吐いて逃げていった。
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