02
音のした薮の方へ、ゆっくりと近付いていく。
そこには……
「ポケモン……?」
私も見たことの無いようなポケモンが倒れていた。
(あ、このポケモンって確か……)
何とか記憶を必死に辿って、目の前のポケモンの名前を思い出す。
このポケモンは、確かゾロアークという種族だったはずだ。
"カッコ良いから絶対ゲットしようと思ってたのに、進化前のゾロアも出てこないんだぜ!?"って、"彼"が悔しがってたっけ。
(だけど……)
"彼"から聞いた話だと、ゾロアークはたてがみが赤い色だったはず。
でも彼(彼女?)のたてがみは、アメジストの色を写し取ったかのように美しい紫色をしていた。
(綺麗な色……。そういえばこの子、よく見たら傷だらけだ)
縄張り争いにでも負けたのか、全身が傷だらけだった。
私は近くにあったリュックの中を漁ってみる。
気を失ってるみたいだから木の実は食べられないだろうし、そうなると使うべきなのは傷薬なのかな。
「ど、く、け、し……ちがう、これじゃない。
こっちは……あ、これが傷薬だ」
傷薬と書かれた道具を手に取り、ゾロアークの手を優しく持ち上げる。
「染みるけど、我慢してね」
一言そう言って消毒を始めようとした時、手に鋭い衝撃が走って傷薬が弾き飛ばされた。
[*prev] [next#]
TOP