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逃ゲロ、逃ゲロ、逃ゲロ!



頭の中でけたたましいサイレンのように同じ単語が何度も過ぎる。

「追え、バルジーナ! 絶対に逃がすなよ!」

背後でポケモンハンターの声が響く。

そして、目の前にはヤツのポケモンであろうバルジーナ。

『ここまでだ。我が主のため、大人しく捕まってもらうぞ』

絶対に捕まってたまるか。

人間なんかのコレクションになるなんざ、死んでもゴメンだ。

『それで俺が"はい、そうですか"って易々と捕まると思うのか?』

『ほぅ? そんな状態でなお足掻こうというのか。
諦めろ、お前に逃げ道は残されていない』

『そいつはどうかな?』

俺は手に握っていた砂をバルジーナに投げ付ける。

ヤツが目に入った砂をどうにかしている間に、俺は走った。

そのまま川へと向かう。確かその川の先には滝があったはずだ。

上手く滝壺に落ちることができれば……。

逃げ延びなければならない一心で、重くなってきた脚を叱咤して走る。

だが……。

『馬鹿め。あんな小細工が通用すると思ったか』

『バルジーナ!? クソッ……!』

砂が目に入ったように見えたのは演技だったのか!

進路をバルジーナに、退路をハンターに塞がれてしまう。

「よくやった、バルジーナ!
ったく、手こずらせやがって……抵抗できねえようにちっと痛めつけておくか。
悪の波動!」

バルジーナの悪の波動が俺の方に真っ直ぐ飛んでくる。

何とかそれをギリギリで躱し、滝壺に迷わず飛び込んだ。


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