07

アブソルの瞳が再び見開かれる。

『お前……本気か?』

「本気だよ。誰に何と言われようとね」

『だが、俺たちは"災害の化身"と呼ばれているんだぞ
一緒にいれば危険な目に合わせるかもしれない。
それでもお前は、俺を仲間にすると言うのか?』

「うん。
だって、君たちは意図的に災害を起こしてるわけじゃない。
災害が来るから危ないってことを知らせるために、人前に姿を現すんでしょ?
町の人たちはそのことを知らないだけ。だから自分を卑下することないんだよ」

『……っ!』

アブソルは災害の化身なんかじゃない。

災害が起こることを知らせるメッセンジャー。

それが人間やポケモンを守るためにしてくれてるだって、ちゃんと分かってるよ。

『……分かりました』

あれ? さっきと口調が違う?

『これからは、危険より貴女を守る剣となりましょう。
どうぞ私を仲間にお加えください、姫』

「えぇっ!?」

ひ、姫!?

私そんな風に呼ばれる立場じゃないよ!?

『どうかしましたか、姫?』

いやいや、どうしたもこうしたも!

緑炎なんかビックリして固まっちゃってるし!

「あ、あの……別に"姫"なんて呼ばなくても……」

『私がそうお呼びしたいのです。
貴女は私を理解してくれた……今まで私が味わってきた悲しみを消してくださいました。
そして思ったのです。貴女こそ、私が仕えるべき主だと……!』

何かキャラが変わってきてる気が……。まさかこっちの方が素とか?

「で、でも仲間なんだから上下関係作りたくないし……。
だから呼び捨てとタメ口で良いんだよ。友達みたいに接してくれたら良いから」

『そういうわけには参りません。貴女は私の主、大切な姫ですから』

『フユカ、諦めろ。たぶん何を言っても聞きやしないぜ』

「うぅ……。私、姫なんて呼ばれる柄じゃないのに……。
と、とにかく! これからよろしくね、"白刃"!」

『……はくじん?』

「そ。この世に1つしかない、君だけの名前だよ」

『姫御自ら名前を授けて下さるとは……!
この白刃、自分の命と引き換えにしても姫の御身を必ずお守りすると誓いましょう』

「えぇっ!? 命と引き換えはダメ!!」



白刃――

君が進む道の先の闇を切り裂き、光で照らされますように――。


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