06


あれからしばらく歩くと、広い空間に出た。

真ん中には、アブソルが背を向けて立っている。

私はその背中に声をかける。

「アブソル!」

『! お前はさっきの……。
ここへ何をしに来た?』

「君にお礼を言いに来たんだ」

アブソルの大きく赤い瞳が見開かれた。

災害を呼ぶと言われ、町の人たちに嫌われていたアブソルにとっては驚きが大きいと思う。

しかし、見開かれた瞳は静かに閉じられた。

あぁ、もう少し見てたかった。

可愛かったのに……。

『俺は……礼を言われるような存在じゃない。
いつの時代も、俺たちの種族は嫌われ者だ』

「でもあの時君が助けてくれなかったら、私は今ここにいないと思う。
だからありがとう、助けてくれて」

アブソルと無言で見つめ合う。

てかアブソルってポケモンの中ではかなりのイケメン枠だから、じっと見られているのはかなり恥ずかしいな。

やがてアブソルが視線をそらし、フッと笑った。

『面白い人間だな。お前のような人間に会うのは初めてだ』

『ま、人間はそういう生き物だろ。
自分たちの理解を超えた存在に畏敬の念を持つもんだ。それが崇拝の対象となるのか、恐怖の対象になるのかが違うだけでな。
だが、少なくともコイツはポケモンに対してそんな偏見持つようなヤツじゃねぇよ』

『……そうか。世界にはいろんな人間やポケモンがいるんだな。
俺も見てみたい』

よし、仲間に誘うなら今だ!



「じゃあさ、アブソル! 私たちと一緒に旅しようよ!」


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