05


「ハァ……ハァ……」

アブソルの居場所を教えてもらい、輝きの洞窟へ向かっているのは良いものの……。

360度、どこ見渡しても山と崖の山岳地帯。

持久力なんて皆無の私の体力がもつはずなかった。

明日は全身筋肉痛だな……。

サイホーンに乗った時も、太ももに力入れちゃったし。

『しっかしお前、本当に体力無いんだな』

「悪かったね、運動オンチで」

どうせ体育の成績下の方だよ。そんな奴の体力なんてたかが知れてるわ。

こういう時、空飛べるポケモンがいたら楽だよね。

ファイアローとか、冬でも温かそうだし。

『ねぇ……。あれかな、洞窟……』

蒼真の指差す方を見ると、いかにもって感じの洞窟の入口がポッカリと開いていた。

"輝きの洞窟"っていう名前に反して、中はわりと薄暗い。

ジョーイさんから懐中電灯を借りてきて正解だった。

洞窟に入って探してはみたけど、どこにもいなかった。

町長さんは私がアブソルをゲットするか、アブソルとのバトルに負けるまで邪魔はしないって言ってたから、追い払われてることはないはず。

『アブソル……いないね』

「うん……。どこにいるんだろう?
エリキテルやメグロコたちは、戻って来てから外に出てくるところは見てないらしいけど……」

『ですが、なぜアブソルは町に現れ続けるのでしょう?
町の人たちの様子を見れば、快く思っていない人が多いということは分かるはずですわ』

『いつかは信じてくれると……信じて欲しいと思ってたんじゃねぇか?
だが、もうあいつは町には現れねぇよ』

「え……」



どういうこと……?



『お前が町の住人と話してた時、あいつは話を聞いちまったんだ。
"町の住人がアブソルを追い払う計画を立ててる"って話をな』

「その話……あの時の?」

アブソルが町を去った後、私が住人の男性としていた話だ。

じゃあ……。

「あの時、アブソルは近くにいたってこと?」

『あぁ。いつも住人の前から姿を消した後、様子を見てたんだろ。
今回の前も、その前も』

『そして今回、町の人が彼を追い払おうとしていることを知ってしまった……。
そういうことだったのですね』

『……』

あのアブソルはこのまま1匹で生きていくんだろうか。

信じて欲しかった人たちに信じてもらえず、誤解されたまま……。



「緑炎、急ぐよ。
アブソルがどっか行っちゃう前に追いつかなきゃ」


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