03


道中、急遽開かれた撮影会を終えてしばらく歩くと、海沿いの町が見えてきた。

タウンマップで確認すると、画面にはしっかりと"コウジンタウン"と表記されている。

「ここがコウジンタウンみたいだね。潮風が気持ち良いや」

「海沿いの町なんて初めてです! キレイですね」

「うん。
えっと……セレナちゃんが行きたいのは水族館だったよね?」

「はい。あの大きな建物です」

セレナちゃんが指差す方を見れば、いかにも水族館という感じの建物がドーンと建っていた。

水族館とか最後に行ったのいつだったっけ?

しかも向こうの水族館と違って、こっちの世界で展示されてるのって水ポケモンなんだよな。

自分の手持ちたちをモンスターボールから出して、一緒に鑑賞しよう。

その後、擬人化した緑炎と雅を見たセレナちゃんに小一時間くらい質問攻めにあった。



水族館に入り、受付で入場料を支払う。

係員の人に写真を撮っても良いか聞いたら、フラッシュをたかないという条件付きで許可をもらった。

「よっし、写真撮るぞ!」

「お前が水族館に来たのは写真を撮るためなのか、水ポケモンを見るためなのかどっちなんだよ」

そりゃもちろん……。

「両方だよ!」

「……言うと思ったわ」

「フユカさん、見てください! マンタインですよ!」

「わぁ、おっきい!」

マンタインを目撃したのを皮切りに、いろいろな水槽を見て回る。

あ、あの大きな水槽にラブカスがいる!

「セレナちゃん、さっきラブカスの話したよね?
あのポケモンだよ」

「実際に見ると、とても可愛いですね!」

そんなこんなで一通り水族館の中を見て回った。

セレナちゃんは友達との約束があるということで、1足先にポケモンセンターに行った。

『フユカ……次はどこ行くの?』

「次は化石研究所に行くよ。私としてはこっちの方が本命だからね!
よし、そうと決まればさっそく研究所に行こう!」

化石研究所へ行くため、思い切り足を踏み出したその時――。



「あなたは、化石に興味があるんですか?」



後ろからいきなり声をかけられた。

「はい。私、化石大好きなんですよ!」

思い切り振り返れば、目の前にはとても動きやすそうな服装の男性が立っていた。

あの人、ザクロさんだ!

「これは……挨拶もせず失礼しました。
私はザクロ。ショウヨウシティのジムリーダーです」

「あ、初めまして。私はフユカです」

ザクロさんは私の隣に立っていた緑炎と雅を見ると、面白いものを見たというように微笑んだ。

「なるほど、擬人化したポケモンですか……。
相当強い絆で結ばれているのですね。
久しぶりにあなたのようなトレーナーを見ました」

何で気付いたの!?

私擬人化のことザクロさんに言ってないよね!?

というか、ザクロさんとは今日が初対面だよね!?

「あの……何で擬人化してるって分かったんですか?」

「長年の勘、ですかね。ジムリーダーをやっていると、色んなトレーナーに会いますから」

長年のものとはいえ勘で擬人化を見破るなんて……やっぱりジムリーダーってすごいな。

「ところで、あなたはこれから化石研究所へ行くのですよね?
私も研究所に用がありますので、良かったら一緒に行きませんか?」

「良いんですか?」

「えぇ、もちろん。良いものを見せてもらったお礼です。
こちらも面白いものをお見せしますよ」

思わぬ出会いに驚いたのも束の間、私はザクロさんと一緒に化石研究所へ行くことになったのだった。


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