04
朝食を済ませたあと、サナちゃんは一足先にポケモンセンターを出発した。
「じゃあ、私たちもそろそろ行こうか」
「はい!」
「緑炎と雅と蒼真も準備は良い?」
『おー』
『いつでもよろしいですわよ』
『早く出発しよう……』
よし、気合は十分!
と、その時――。
『見つけた!』
1匹のルカリオがセレナちゃんのもとに駆け寄ってきた。
『この波導……間違いない。どうか私をあなたの供としてお連れください!』
ルカリオは、飼い主を見つけた子犬のように尻尾をブンブン振っている。
何それ、可愛い。
でも、セレナちゃんにはただ鳴いてるようにしか聞こえないんだろうな。
肩に乗っているフォッコもキョトン顔だ。
「あ、いた!
ルカリオ、ダメでしょ! 勝手にどっか行ったら!」
大きな声を上げながら走ってくる……ではなく、ローラースケートで滑ってくる女の子。
「ごめんね。いきなり駆け寄ってきて驚いたでしょ?
だけどルカリオ、あなたそのトレーナーのことが気に入ったのね」
「あの……あなたは?」
「あぁ、ごめんなさい。
私はコルニ。こう見えて、シャラシティのジムリーダーをやってるの!」
シャラシティって言えば、メガシンカに関係のあるマスタータワーのある海辺の街だ。
っていうか、シャラジムって格闘タイプのジムだよね?
となると、私の手持ちじゃルカリオに苦戦しそうだな……。
「ねぇ! あなたの名前は?」
急に声をかけられてハッとすれば、目の前にコルニちゃんの顔。
どうやら私が考え事をしている間に自己紹介が始まったらしい。
「私はフユカ。よろしくね、コルニちゃん」
「うーん……。どうしてか分からないけど、あなたの顔どっかで見たような……?」
え、どゆこと?
コルニちゃんはひとしきり首を捻った後、"あぁ!"と手を叩いた。
「そっか、お祖父ちゃんの部屋にあった写真に写ってた子だ!
あなた小さい頃にテオさんとよく遊びに来てたの、覚えてない?」
ちょ、ちょっと待って。タイム。
そもそも小さい頃のことなんて全く覚えてないし、そのテオさん? って名前も身に覚えが無いんですが?
「え、っと……。
テオさんって人のことはよく知らないし、まだシャラシティに行ったこと無いはずなんだけど……」
「そ、そう? じゃあよく似てる別人だったのかな?
ごめんね、変な話して」
「大丈夫だよ、気にしないで」
「2人とも、バッジを集めてるならいつか会えるね!
楽しいバトルを期待して、シャラジムで待ってるから!」
そう言ってコルニちゃんは来た時と同じように颯爽と帰っていった。
テオさん……。聞いたこと無い名前だったけど、何か懐かしい響きだった。
いつか思い出せる日が来るのかな?
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