06
ニャスパーの助けもあって何とかトリミアンを管理人のもとに帰した私たち。
管理人はトリミアンのために花火を打ち上げると言って宮殿の奥に引っ込んだ。
「トリミアン、無事に帰せて良かったね」
「あたしはあの人の態度がちょっと気に入らなーい」
それは私も思った。
何ていうか……でっかい子ども? みたいな人だった。
その後、執事さんからポケモンの笛を受け取り、持ち主のもとへ持って行った。
なんでも、セレナちゃんとサナちゃんはこの笛を借りる代わりにトリミアンを探していたらしい。
橋の上で眠っていたカビゴンは笛の音によって目を覚まし、山へと帰っていった。
そして現在、ポケモンセンターの部屋にいる。
「そういえば、あのニャスパーどこに行っちゃったんだろう?
トリミアン捕まえてくれたお礼言いたかったのに」
あの時、トレーナーは私とセレナちゃん、サナちゃんの3人しかいなかった。
トレーナーのポケモンとは考えにくいから、野生のポケモンだったのかもしれない。
「恥ずかしがり屋な子だったのかもね。ポケモンにも色々性格はあるから」
―コンコン―
「はぁい?」
―ガチャッ―
「あの、フユカさんいらっしゃいます?」
ドアを開けたのは桜色の髪をした女性。
擬人化したプクリンかな?
「あ、はい。何か用ですか?」
「お客さんですよ」
いや、ニッコリと微笑まれてもあなたしかいないんですが?
「足元のニャスパーのことじゃないのか?」
「へ?」
緑炎に言われて足元を見下ろすと、ニャスパーがじっと私を見上げている。
『……僕も仲間に入れて……』
……へ?
「仲間に入れてくれって言ってるぞ。
どうすんだ?」
いや緑炎、それは分かって……。
あ、そうか。セレナちゃんとサナちゃんは私がポケモンの言葉が分かることを知らないんだ。
「緑炎さん、ポケモンの言葉が分かるんですか?」
「まぁ自分がポケモンだしな」
「すっごーい!」
『……君の仲間になれたら、僕も強くなれそうな気がする……。
それに、楽しそうだったから……』
何というか……感情が読めない子だな。
無表情なだけかもしれないけど。
「そっか、分かった。
これからは私たちと一緒に色んな所に行こうね、蒼真!」
『……そうま……?』
「こいつは自分の手持ちに名前を付けるんだよ」
「名前は私たちの仲間である証。
そしてこの世に1つしかない、あなただけの名前ですのよ」
「気に入ったかな?」
『……うん』
あ、嬉しそう。良かった。
「じゃあ、蒼真は私たちの仲間だよ。
私はフユカ。これからよろしくね」
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