06
あの後そのまま研究所に帰ってきて、その足で自分の部屋へと向かった。
何か……すごく疲れた。
「はぁ……」
「フユカ様、どうかなさいまして? 先程からため息ばかりですわよ?」
「んー、何か疲れたなぁって思ってね。あんなこと聞かれると思わなかったし」
「この世界が美しいかどうか、か?」
「うん。
ま、何と言われようが私の答えは変わらないんだけどね。
人やポケモンとの繋がりを大切にしたい。
そして、それを壊そうという人がいるのなら……私の大切な人たちを危険な目に遭わせようとする人がいるのなら、私は全力で戦うよ。
……例え自分がどうなったとしてもね」
「それだけはなりません!」
「「!?」」
部屋中に凛としていて、力強い声が響く。
その声の主は、雅。
「あなたは先程、繋がりを大切にしたいと言いました! 大切な人を守りたいとも言いました!
ですが、あなたがいなくなってしまっては悲しむ人がいます!
私はフユカ様のいない世界など考えられない……いいえ、考えたくもありません。
大切な人を守りたいのは私も同じです。緑炎様もそうでしょう?」
雅の大声に腕を組んだまま目を見開いていた緑炎。
でも、話を振られるとハッとしたようにいつもの緑炎に戻った。
「雅の言うことにも、お前の言うことにも一理ある。
だがな、フユカ。戦ってお前がこの世界から消えていなくなったとする。
お前が自分の行動にどれだけ納得しようと、遺されるやつらが同じように受け入れるとは限らないんだぞ。
1度失われた命は戻らない。いなくなっちまえば2度と会うことは出来ないんだからな」
緑炎も雅も、2人とも私のことを思って言ってくれたんだ。
泣きそう……。
「ありがとう、2人とも。
でもまぁ、本当にそうなるって決まったわけじゃないんだし、もしもの話ってことにしといてよ。
さ、明日はコボクタウンに出発するんだから寝よう。
おやすみ」
「あぁ、おやすみ」
「おやすみなさいまし」
もしも……いや、やめておこう。
私たちの冒険がこれからどうなっていくのかなんて、誰にも分からないんだから。
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