03


買ってもらったミアレガレットを手に、博士の案内で来たのはとあるカフェ。

『まぁ……。もう少し落ち着いた雰囲気のカフェかと思いましたわ』

雅がこう言うのも無理はない。

ここはあの"フラダリカフェ"。

雑貨やインテリア、内装……食器以外の全てのものが赤に統一された世界は、彼女にとって居心地の良い場所ではないと思う。

雅はカフェよりも茶道の茶室の方がイメージに合う気がする。

和服だしね。

緑炎も居心地悪そうにしてるし、私も正直落ち着かない。というか、目がチカチカする。



"帰りたい"――



それがこのカフェに来て最初に思ったことだった。

「いらっしゃい、プラターヌ博士。
おや、今日はお連れの方がご一緒なのですね」

「やぁ、フラダリさん。お久しぶりです。
随分とご無沙汰だったので、今日はここでお茶をと思いまして……」

博士と親し気に話す目の前の男性、フラダリさん。

やっぱり背高いな……。

本当はすごく帰りたいけど……博士がいる手前それは出来ないし、彼にも失礼だ。

「おっと。自己紹介もせず失礼しました、お嬢さん。
私はフラダリ。このカフェのオーナーです」

「初めまして、フユカです」

フラダリさんの目が見開かれた気がした。

そういえば、博士と会った時もこんな感じだったっけ。

私にそっくりな人でもいるのだろうか?

「あの……何か?」

「あぁ、いえ。見覚えのある顔だと思ったのですが、どうやら勘違いだったようです。
立ち話もなんでしょう。席へどうぞ」

フラダリさんに促されて真っ赤なイスに腰を降ろした。


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