09


『ところで、お2人はこれからどうなさるのですか?』

ビビヨンが凛とした声で尋ねてくる。

さっき思い切り泣いたせいか、幾分かスッキリしたみたい。

「私たち、この地方のジムを巡りながら旅してるんだ。
だから、今日はミアレシティまで行くつもり」

『だいぶ時間食ったけどな』

今それを言わないの!

でも確かに、ミアレシティに着く頃には夕方になっているだろう。

『あの、私も旅の仲間に入れてください!』

「え……?」

ワッツ?

「私で良いの?」

『はい。私はあなたと一緒に旅がしたい。
私を受け入れてくれたあなたの力になりたいのです』

あまりに真剣な眼差しを向けられるものだから、チラッと緑炎を見やる。

緑炎は"お前の好きにすれば良い"としか言わなかった。

放任主義ですか、コノヤロウ。

「そっか。じゃあ一緒に行こうビビヨン!」

『……! はい!』

ベルトからモンスターボールを1つ取り外し、ビビヨンをボールに収める。

ボールに吸い込まれる間際の彼女の顔に悲しみの表情はなく、代わりに嬉しそうな笑顔が浮かんでいた。


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