07
ある日、私の前に1人のトレーナーが現れました。
私の姿を見たそのトレーナーは、それは嬉しそうな顔をしていました。
"よし、俺こいつを強いビビヨンに育てるぞ! 雪原の模様だったら良いなぁ"
その日から、私はそのトレーナーと共に成長していきました。
多くのバトルを経験して、コフーライに進化して……。
そしてついに、私はビビヨンに進化しました。
ビビヨンまで進化出来たことが嬉しくて、私はトレーナーを振り返りました。
ところが私の期待とは裏腹に、あなたの顔に浮かんでいたのは苦い表情。
"ちぇ、雅な模様かよ。まぁこの模様は個体数が多いし、始めから期待しない方が良かったな。
また別のコフキムシをゲットするか。虫ポケモンは育つの早いし"
私は離れていくトレーナーを追いかけました。
どうして振り返ってくれないのですか?
どうして何も話してくれないのですか?
まるで、私など始めから存在しなかったかのように。
それでも追いすがる私を、あなたは思い切り怒鳴りました。
"しつこいぞ! お前はもう用済みなんだ!
いい加減どっか行けよ!!"
そう言ったあなたの目はとても冷たく、氷のようでした。
気が付けば、私は泣いていました。
先程の彼女も、ありきたりな模様だと知って落胆したでしょうか。
どこにでもいる模様だと、そう思われてしまったのでしょうか。
止めようと思っても次から次へと溢れ出る涙。
お願いです。どうか……
羽の模様ではなく、私自身を見てください――。
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