06
「ハァ、ハァ……。どこに行っちゃったんだろう?」
『そう遠くまでは行ってないはずだ。俺はもう少し探してくる。
お前はここで待ってろ』
「うん」
緑炎の背中を見送って、もう1度考え事に耽る。
ビビヨン、泣いてたな。
確かにビビヨンたちの中には、珍しい模様を持つ子もいる。
同じ模様の羽を持つビビヨンは、人間から見たらみんな一緒に見えるのかもしれない。
でも、全く同じ子なんて存在しない。
模様は同じでも、性格や個性はそれぞれ違うのに……。
『フユカ、見つけたぞ!』
その声に勢いよく振り返れば、少し肩で息を切らした緑炎がいた。
「どこに!?」
『この奥の泉だ!』
駆け出す相棒の背中を追って、私も走り出す。
ねぇ、ビビヨン。
あの綺麗な笑顔を、もう1度見せて……。
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