04
「え……」
姿を現したポケモン、それはビビヨンだった。
だけど、ビオラさんのビビヨンとは違う。
目の前にいるビビヨンは紫色の羽だ。
『ご、ごめんなさい。私、ずっとあなた方に隠れてついてきましたの』
まさかのお嬢様口調!
っていうか、紫の羽のビビヨンて……。
「綺麗……」
『え?』
ふと口をついて出た言葉に、ビビヨンは目を丸くする。
「ビオラさんのビビヨンも綺麗だったけど、紫の羽もいいね。
私はこっちの方が落ち着いてて好きだな」
『そ、それは本当ですか!?』
私の言葉によほど驚いたのか、ビビヨンは目を丸くしたまま聞いてくる。
「うん、綺麗な模様だね」
そう言うと、ビビヨンの瞳から涙がこぼれた。
え、何?
泣かせるようなこと言った?
「ごごごごごめん! もしかして嫌だった!?」
『ち、違うのです! ……嬉しくて、つい』
なんだ、嬉し涙か。良かった。
「でも、どうして君は私たちのあとをついてきてたの?」
『私は、ついこの間まで他のトレーナーのポケモンだったのです』
彼女はハクダンの森で生まれ、他の野生ポケモンたちと穏やかな暮らしを送っていた。
コフキムシの時にとあるトレーナーのポケモンとなり、ビビヨンに進化したものの、そのトレーナーに捨てられたのだという。
そしてパルテール街道を散歩していたところでスピアーたちと戦っている私たちを見つけ、それ以来ずっとついてきていたのだそうだ。
やっぱり、ポケモンを捨てるトレーナーは少なからずいるんだ……。
[*prev] [next#]
TOP