01
「じゃあ、何かあったら連絡するんだよ。気を付けて行っておいで!」
「はい! 博士、行ってきます!」
プラターヌ博士は、旅に出る私たちを暖かく見送ってくれた。
パートナーの緑炎と一緒に、最初のジムがあるハクダンシティへと向かう。
ちなみに今はパルテール街道。私と緑炎が初めて出会った場所。
といっても、昨日のことだが。
「信じられないな。本当にポケモンの世界に来ちゃったんだ」
『信じられないっつっても、実際この世界に来ちまってるんだから信じるしかねぇだろ。
それよか、俺はポケモンの言葉が分かる人間なんて久しぶりに見た』
「あ、やっぱり珍しいんだ」
緑炎の話では、ポケモンの言葉がはっきりと分かる人間は極めて少ないらしい。
それゆえに、その力を悪用しようとする人間もいるんだとか。
だからあの時、"極力、自分の手持ちと博士以外には話すな"なんて言ったのか。
トリップ小説ではありがちだけど、実際は珍しいんだなぁ。
「それよりどうしたの? ボールの中でキョロキョロして」
『さっきから誰かがつけてきてる』
「え?」
もしかして、ストーカー?
何ソレ、怖い。
「人間?」
『いや、この気配はポケモンだ。何のために俺たちをつけてんのかは知らねぇが……』
「もう少しでハクダンシティに着くから、さっさとポケモンセンターに入った方が良さそうだね」
『そうだな。何かあってからじゃ遅い』
何とか平静を装ったまま歩き、ハクダンシティに到着してすぐポケモンセンターへと向かった。
[*prev] [next#]
TOP