03

ゆっくりと目を開けた私の視界に映ったのは、優しく部屋を照らす月の光と……。



「シャル、ロット……?」



微かに目を見開いて私を見ている緑炎の顔だった。

驚いているような、泣きそうになっているような……。

彼のそんな顔を見たのは初めてな気がして、ベッドから体を起こしながら思わず笑ってしまった。

「緑炎……。もしかして、ずっといてくれたの……?」

「フユカ……いや、シャルロットなんだよな……?」

「……うん、全部思い出したよ。
小さい頃のことも、お父さんや叔父さんのことも……いつも緑炎が傍にいてくれたことも」

彼の目尻にうっすらと浮かんだ透明な雫を拭ってあげる。

次の瞬間、私は彼の暖かい腕の中にいた。

キモリだった時に比べれば体格も大きいし、声も低くなったけど……。

彼の体温の暖かさだけは、10年経った今でも変わってなかった。

「……ャルロ、ト……シャルロット……!」

震える声が、何度も私の本当の名前を呼ぶ。

首筋に吐息が当たって、少しくすぐったかった。

「ありがとう、緑炎。それから……10年も1人にしちゃってゴメン。
ずっと待っててくれてたんだね、私のこと」

私も背中に腕を回し、泣きじゃくる子どもをあやす様にポンポンと叩く。

嗚咽混じりの彼の声が、しばらく部屋に響いていた。


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