09

「お待たせしました。ではニャオニクスたち、頼みますよ」

『僕はどうしたら……?』

『自分のサイコパワーをゴジカに送り込むの。あたしたちはそれに集中すれば良いわ』

何かそこそこ早口だったけど、あれは照れてる……んだよねニャオニクス?

まさかあんな殺し文句聞かされた後に、すぐ再会するとは思わないもんね。ゴメンよ。

ニャオニクスと蒼真が耳を大きく開き、目を光らせる。

するとゴジカさんの身体がフワリと宙に浮いた。

「では緑炎、あなたはそのまま右手を離さないように。
それと……白いスーツのあなたと、ファー付きジャケットのあなたは彼女を押さえ込んでください」

「なっ、姫を押さえ込むだと!?」

「ゴジカさん、正直に言って俺も気乗りはしませんよ。
要は自分のトレーナーを……"フユカちゃんを拘束しろ"ってことでしょ」

わ、私もそこまでする必要は無いんじゃないかなって思いますよ。

っていうか龍矢、ちゃんと敬語使えたんだね?

「私とてこのようなことをしたくはないのです。
しかし失われていた記憶が戻るというのは、身体的にも精神的にもダメージが大きいもの。
何事もなく記憶が戻る方がいるのも事実。ですが中には心が耐えられずに暴れだしたり、気を失ってしまう方もいますので」

「……分かりました。白刃、龍矢、お願い」

「ですが姫!」

「お願いだから、今はゴジカさんの言う通りにして。
私だって、正気を保っていられる自信なんてないからさ」

「……。ハァ、フユカちゃんにそこまで言われたら仕方ないよな……。
よし、やるよ白刃」

「クッ……。失礼いたします、姫……!」

白刃が私の左側、龍矢が右側を羽交い締めにしてその場に押さえ込む。

膝を付く格好になった私は、これで身動きが取れない。暴れるよりは良いよね。

「……では、始めましょう」

ゴジカさんが私の頭部に触れながら、何かおまじないの言葉のようなものを呟く。

その瞬間、私の脳内でパキン! という音が響いた。



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