06

「あなたは……緑のポケモンとともに、石の町で生を受けたようですね。
大きな屋敷で父親や周りの人々から多くの愛情を受け、のびのびと育ってきた」

石の町っていうのは、セキタイタウンのことで間違いないと思う。

だけど、緑のポケモンって……?

「あの……緑のポケモンっていうのは?」

「あなたが"緑炎"と呼ぶ、隣の青年……。
彼こそが過去・現在・未来において、あなたとともに道を歩む者。
そして同じ星の下に生まれた人間の少女を守ろうとする者です」

「同じ星の下、ですか……」

つい、と緑炎を見る。

その視線に気付いた彼が小さく息をついた。

「……俺とシャルロットは同じ日、同じ時間帯に生まれたんだよ。
"同じ星の下"ってのは、たぶんそういう意味だ」

「えっ、そうなの!?」

それはすごい偶然というか……もう運命って言っても良いのでは?

あっ、だから"同じ星"なのかも。

「生まれる前のことを覚えてる訳じゃねぇが……。
外に出ようと思った瞬間、人間の赤ん坊の泣く声が聞こえてたのは朧気にだが記憶にある」

赤ん坊の泣き声……。同じ時間帯に生まれたってことは産声かな?

シャルロットさんが生まれた日、ほぼ同時に緑炎も生まれたんだね……。

「両親とは幼い頃に死別。特に母親は出産と同時にこの世を去っていますね。
ですが彼らは見守り続けている。姿は見えずとも深い愛であなた方を包んでいます。
#name1#さん、あなたは何度か"母親の声を聞いている"……違いますか?」

「母親の声? おい、フユカ……」

「それは、つまり……」

ゴジカさんのその言葉を聞いた瞬間に分かった。理解ってしまった。

あの暗闇の夢で聞いた声は……あの女性の正体は……。



「レティシア、さん……」



お屋敷の地下で見たお墓に刻まれていた名前が脳裏を過ぎる。

夢の中で彼女は、間違いなくこう言っていた。

"私はあなたの母親である"と……。

「じゃあ……。それじゃあ、私は本当に……?」

私の心に浮かび上がった感情を読み取ったかのように、ゴジカさんが静かに頷く。



「あなたの真の名は……"シャルロット・シュヴァリエ・レオンハルト"。
3000年前の王家に仕えた神官の末裔にして、カロスの命運を背負う者です」


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