04




「あなた……昨日のニャオニクスでしょ? ほら、そこの青い髪のあなたよ」

「僕……?」



ニャオニクスから指名された蒼真が不思議そうに首を傾げる。

ゴジカさんはその様子を見てニコリと微笑んだ。

「ニャオニクスは、あなたのニャオニクスに負けたのがよほど悔しかったようで。
彼を気に入ったのか、ずっとあなたのニャオニクスのことばかり話していましたよ」

「ち、違っ……! 気に入ったとかじゃないわよ!
誤解を生むようなことを言わないで!」

「あらまぁ……! フフ、微笑ましいですわね」

「顔真っ赤にして怒ってるところも素敵だよ、お嬢さん。
こんな可愛い子のハートを奪うなんて、蒼真も見かけによらずやり手だねぇ?」

「紫の髪のあなたたちは少しお黙りなさい!」

雅と龍矢に向かってシャー! と威嚇(照れ隠しかな?)したニャオニクスは、小さくコホンと咳払いする。

擬人化した2人のニャオニクスが向かい合う様は、とても絵になるような気がした。

蒼真に関しては完全に親バカになるけど、2人ともとにかく美形だもんね!

「昨日のバトル……なかなか良いバトルだったわ。あたしに勝ったのだから胸を張りなさい。
……それが言いたかっただけよ。別に、あなたのことカッコ良かったとか思ってないんだから」

(おっと……?)

本音がダダ漏れなのは指摘するだけ野暮だよね。

にしてもまさか、あのジム戦がきっかけでロマンス始まっちゃうとは思わなかったなぁ。

「僕も、昨日のバトル楽しかった……。
ジムリーダーのために戦う君も……すごくキレイだったよ……」

「なっ!? な、な、な……!」

ニャオニクスの言葉に、蒼真はそう返す。

それが心からの言葉であることは、彼のあの微笑んだ顔を見れば分かる。

(でも蒼真……すごい殺し文句だよ、ソレ)

ニャオニクスの顔、真っ赤になってるじゃん。

当事者じゃない私ですら、聞いてて恥ずかしくなってくる。

「何を言い出すの、このおバカさん!
1度しか言わないからよく聞きなさい! あなたをあたしの"ライバルとして"認めてあげる!
次バトルする時はあたしが勝つわ。あたし以外の相手に負けたりなんかしたら許さないから!」

ビシィッ! と蒼真を指さし、大きな声でそう言ったニャオニクスが背を向けてバトルフィールドを出て行く。

髪の隙間からチラリと見えた彼女の耳は、とても赤かった。


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