02

ヒャッコクジムの受付を過ぎ、バトルフィールドで待っているというゴジカさんの元へ向かう道中。

俺はフユカとの約束を思い返していた。

それは……アイツが本当にシャルロットと同一人物であった時、その占い結果を誰にも話さないことだった。

屋敷の使用人たちやアレックスたちはもちろん、唯一の肉親であろうプラターヌ博士にさえも。

当然、俺たちは疑問を返した。"何故隠しておくのか"と。

みんながシャルロットの帰りを待ってることは知ってるはずだ。なのに何故。

"うーん、説明が難しいんだけど……。占い結果を受け入れることと、それに慣れることは違うと思うんだよね。
今までフユカとして生きてきた時間が長かったし、今日から私はシャルロットですってすぐ切り替えられないんじゃないかなって。
だから自分=シャルロットっていう感覚が馴染むまでは、フユカとしていさせて欲しいんだ"

……と、フユカは言った。アイツの経歴を考えればそれも不思議ではない。

だからこそアイツとの約束にみんな承諾したんだが……何か別の気持ちを隠そうとしているような、あの笑顔が俺には引っかかった。

そんな思考を巡らせている途中、ふとクノエシティに出発した日のことを思い出す。

フユカと旅支度を進めている中、俺は孝炎に呼び出された。

その時に俺は聞かされたのだ。フユカの背後に、奥方が寄り添うように傍にいると。

"緑炎、そなたのことゆえ杞憂だとは思うが……。
この先何があろうと、フユカの手を掴んで離すな。
フユカにとって1番の心の支えはそなただ。昔も今も……これから先も、それは変わるまいよ"

(分かってる……。あぁ、分かってるさ)

10年も探し続けた"家族"が戻ってきたんだ。

もう2度と……離すもんかよ。



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