01
悠冬の快復を待つこと数日後。
ジョーイさんから悠冬の退院の許可をもらった。
氷雨の提案で、悠冬(ついでに龍矢も)の進化のお祝いをしたのが昨日のことだ。
「よーし! 朝ご飯も済ませたし、ヒャッコクシティに向けてしゅっぱーつ!」
『おー!』
『あぁ、姫……すっかりお元気になられて……!』
『孫の成長を喜ぶお祖父ちゃんみたいな言い方になってない?』
『つか、この数日間で一気に吹っ切れたな』
プラターヌ博士とアレックスさんたちは、一足先にミアレシティへと戻っていった。
水姉さんがあれもこれもと持たせてくれたおかげでちょっとカバンは重いけど、これも彼女なりの愛情ってことで受け取っておいた。
『……そういえばお前、前にサイホーン乗って筋肉痛になってただろ。
町のゲートを抜けたら俺をボールから出しとけ』
「えっ、何で?」
『この先にある17番道路は険しい雪山だ。
ほぼ年中雪が深いから、マンムーに乗って進むしか方法はねぇんだよ』
「い、インストラクターとかいないの?」
『完全に自己責任だ』
うそぉん……と思わず言葉を無くす。
マンムーって、マン〇スみたいなポケモンでしょ? 絶対視線が高くなるって。
『僕がフユカを背中に乗せるのはダメなの?』
『ダメだな。悠冬はともかく、フユカが雪に埋もれるぞ』
「それは勘弁願いたいなぁ!?」
雪で窒息死なんてしたかないよ、私は!
『異議ありー。緑炎、この前フユカちゃんのことおぶって帰ってきたじゃん?
たまにはそういうポジションを譲ってくれても良いんじゃないかって俺は思いまーす』
『お前はただ姫にしがみつかれたいだけだろう』
白刃がため息混じりにポツリと零す様子を見て、私はつい頬を緩める。
龍矢が仲間になってすぐの頃は、彼のあぁいう発言に真っ先に噛み付いてたのになぁ。
クノエシティで龍矢自身の過去の話を聞いてからは、態度を軟化させたような気がする。ほんの少ーしだけど。
『じゃあ聞くがな、龍矢。お前マンムーに乗って雪山越えた経験はあるのか?』
『……無いね! こんなことなら1度くらい経験しとくんだった!』
『ほら見ろ』
まぁ龍矢……もといオンバーンってドラゴン・飛行タイプだし。
わざわざ寒いエリアに近付こうとはしないよね。
『ウフフ、賑やかで良いですわね。やはり私たちの旅はこうでなくては』
『そうだね……。でもどうするの……?
マンムーの姿も見えてきてるけど……』
「えっ、もう!? と、とりあえず雪山越えお願いね緑炎!」
モンスターボールから緑炎を出して、マンムー乗り場でマンムーの背に乗せてもらう。
正直に言わせてもらうと、目線は高いし緑炎に密着してるし……色んな意味でドキドキしたのはここだけの話だ。
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