02
フウジョタウンのポケモンセンターに戻ると、エントランスにいた雅たちがワッと駆け寄ってきた。
特に白刃はすごい勢いで。
「ご無事でしたか、姫!」
「……良かった、無事で……!」
「緑炎からフユカがいなくなったと聞いて、私たちも心配していましたのよ」
「この町って夜は特に冷え込むから寒かったっしょ?
俺がハグして暖めてあげようか?」
私が返事を返す暇がないくらい、一斉に私へと声をかけてくれて。
みんながそれだけ心配してくれていたことに、嬉しさと申し訳なさを感じた。
というか龍矢、今の水姉さんが聞いてたら絶対にシメられるよ。
「しかし緑炎、何故姫を背負っているんだ?
実に羨まs……ではなく、何があった?」
「おい本音出てんぞ、白刃。
……このバカ、1人でフロストケイブに行っててな。
そん時に足ケガしてんだよ」
「ケガだと!? 何と言うことだ……姫の美しい御御足に傷が……!」
「いや、転んで捻っただけなんだけど……。
それよりも、悠冬をジョーイさんに預けなきゃ」
ボールベルトから悠冬の入ったモンスターボールを取り外す。
するとそのボールは、蒼真の手にさらわれていった。
「……僕が行ってくる。……悠冬には僕がついてるから、フユカは早く足を手当してもらって……」
そう言って颯爽と受付まで向かったかと思いきや、突然ピタリと足を止める。
"フユカ"と、静かな声に呼ばれた。
「……悠冬、フユカのために頑張ったんだね。……後でたくさん、褒めてあげて。
きっとそれが……悠冬にとって1番の報酬になる」
「えっ? う、うん……それはもちろん」
蒼真はほんの少しだけ口角を上げて笑うと、今度こそ受付へと走っていった。
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