03
「よぉテメェら、久しぶりだな」
「アニキ……今までどこ行ってたんすか!?」
「俺ら10年以上、ずっとここで待ってたんすよ!?」
「アニキが戻ってきたんならこっちのもんだ。この女に一泡吹かせて、ギャフンと言わせでッ!?」
ニコラさんがチンピラたちの頭に、順番にゲンコツを落とす。
ゴッ! という音と一緒に頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
「言ったはずだぞ。俺ぁもう不良から足洗ったんだ。
……事情も話さずテメェらの前からいなくなったのは悪いと思ってるが、まさか一般の人間に手ぇ出してるたぁな」
ハァ……と盛大にため息をつくニコラさん。
どうやらこのチンピラたちは、かつて一緒に少年期を過ごした人たちらしい。
彼らの様子を見ているだけで、(方向性はどうあれ)どれだけ慕われていたのかが分かる。
事の成り行きを黙って見ていた私たちに、ニコラさんが振り返って頭を下げた。
「姐さんに旦那方、阿呆どもがサーセンした!」
その行動を見たチンピラたちが、驚いた顔でニコラさんと私たちを交互に見る。
……ちょっと落ち着かないから、あんまりマジマジと見ないで欲しいな。
「コイツら俺が昔つるんでた連中なんすけど、なにぶんしつけのなってねぇヤツばっかで……。
何かヒデェことされたんなら俺が後でシメとくんで、今回だけは見逃してくだせぇ!」
「だ、大丈夫ですよニコラさん! 顔上げてください!」
「ポケモンバトルを吹っかけられただけだし、気にすんな。
別に暴力受けたわけでもねぇし」
「姫を"この女"呼ばわりしたことはあまりに度し難いが……。
姫の御心とニコラの誠意に免じて、今回は特別に不問としよう」
「あぁそうだ、シメる時にはこう教えといてよ。
"女の子を怖がらせるようなことはするな"ってさ」
「ありがてぇっす。おい、テメェらも頭下げな。
2度と姐さんたちに迷惑かけんじゃねぇぞ!」
「「「は、はい! サーセンしたアニキ、姐さん!」」」
「何かすごく複雑な気持ちだよ私は……」
丸く収まったことには一安心だけど、絵面がちょっと……ねぇ?
私に向かって一斉に深々とお辞儀させた後、久しぶりに会ったんだしということで場所を移すことになった。
[*prev] [next#]
TOP