02
「ん〜……。いくらフユカちゃんの頼みでも、それは……」
「そこを何とか……。フェアリータイプに有利な技持ってるの、龍矢だけだし……」
何とか龍矢を説得しようとして早10分。
でも彼は自身のモットーからか、なかなか首を縦に振ってくれなかった。
「女の子と戦わないのが龍矢の主義だっていうのは分かってるよ。
だけど……」
「ゴメン」
私の言葉を遮って龍矢が口を開く。
初めて会ってから今まで、龍矢が話の途中で割り込んでくることは1度だって無かった。
彼はとても話し上手だけど、同時に聞き上手でもあったから。
テンションの上がった悠冬の要領を得ない話だって、"うんうん"と相槌を打ちながら最後まで聞いてる姿をよく見かける。
だからこそ、今の彼の行動はとても驚くことだった。
"まだ姫がお話しになって……!"って白刃が食ってかかろうとしたけど。
龍矢の表情はとても暗くて、いつものおどけた笑顔はすっかり鳴りを潜めている。
どうしたんだろう。何だか龍矢じゃないみたい……。
「龍矢、バトル嫌いなの?」
「ポケモンバトルそのものが嫌いなわけじゃない。
他でもないフユカちゃんの頼みだし、本当は叶えてあげたいよ。
けど、それだけはダメなんだ。女の子とバトルをしてしまったらきっと……俺は俺を許せなくなる」
"ちょっと外の空気吸ってくる"と言って、龍矢が部屋を出ていってしまった。
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