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ジムの受付に緑炎たちを1度預け、衣装室へと足を踏み入れた。

マーシュさんが部屋を歩きながら振袖を見て回る。

「あんさんにはどれが似合うやろか?
青い花のフラージェス? それともサーナイト?
黒髪やし、クチートも似合いそうやね」

マーシュさんが楽しそうに振袖を選ぶ中、私はソワソワと衣装室を見回していた。

本当に色んな柄があるんだなぁ……。

(あれ? あの衣装……)

私はその衣装を手に取り、じっと眺める。

するとそれに気付いたマーシュさんが声を掛けてきた。

「その服が気に入ったん?」

「あっ、すみません! せっかくマーシュさんに選んでいただいてるのに……」

「そうなん、あんさんはそれが気に入ったんやね。
それやったら、その衣装をお礼に差し上げます」

「ええっ!? で、でも……」

お礼とはいえマーシュさんたっての頼みで選んでもらう予定だったのに、自分が勝手に選んだのを貰ってしまっても良いのかな?

「自分の好きなデザイン、自分の好きな服を着るんが1番。
あんさんがそれを着て輝けるんなら、それはうちにとっても嬉しいことなんよ」

そう言ってニッコリと笑うマーシュさんに釣られて、私も自然と笑顔になる。

デザイナーの仕事って大変そうだけど、その人の個性を活かして輝かせるステキな仕事なんだなぁ。

「ありがとうございます、マーシュさん。いただいた衣装、大切にしますね」

「うちの方こそ、今日はほんまおおきに。
……フユカはん、言わはりました? 1つお願いがあるんやけど」

「何ですか?」

「あんさんが選んだその衣装、ジム戦の時に着てみてもらえんやろか?」

「ジム戦でですか!?」

貰ったからには着てみたいけど、まさかのジム戦で振袖デビューとは……。

「うちのデザインした振袖は、ポケモンバトルの時が1番美しゅう映える。
それに、あんさんが自分で選んだ衣装を着てバトルするのを見てみたいんよ」

ぐぬぬ……。そんな優しい笑顔で言われたら断れないじゃないですか……。

さっきマーシュさんのお願いを反故にしてしまったのもあるし、ここは腹を括るしかない。

振袖でジム戦を行うことを了承し、その流れでジム戦の予約を入れてクノエジムを後にする。

この衣装……みんな"似合う"って言ってくれるかな?


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