07

「わぁ!? ビックリしたぁ」

「今のって、爆発音? でも何で急に……」

「セレナちゃん、サナちゃん! 危ないから君たちはここにいて!」

「えっ!? あ、フユカさん!?」

逃げ惑う人たちの流れに逆らって、爆発音がした方へ走る。

誰もいなくなった展示エリアでは、2人組の男性が大きな袋に振袖を詰め込んでいた。

「ちょっとアンタたち、何してるの!」

「見りゃ分かんだろ? この振袖を高値で売り払うんだよ」

「有名デザイナーのマーシュが作ったとなりゃ、女の客には引く手あまただろうぜ」

信じらんない……。自分たちのお金儲けのために、マーシュさんの振袖を強盗するなんて!

「な、何なのそ「許せません……」……れ……?」

凛とした中に怒りを感じるその声。

後ろを振り返ると、雅が今まで見たことのない表情で強盗たちを睨み付けていた。

「み、雅……?」

「ここにある振袖は全て、"多くの女性に輝いて欲しい"とジムリーダーが作り上げた物でしょう。
それを自分たちの利益のために奪い、あまつさえ女性の憧れすら商売の道具にしようなどと……恥ずかしいと思わないのですか!」

「あのー……雅さーん?」

ダメだ、私の声が全然聞こえてない。

こんなに怒ってる雅なんて初めて見た……。

強盗たちも、いかにも清楚で声を荒らげそうにない彼女が憤慨していることにたじろいでいる。

が、相手が女性と見るやポケモン勝負に訴えてきた。

ポケモンを繰り出してきたのを見た雅も、擬人化を解いて臨戦態勢に入る。

完全に雅の逆鱗に触れたっぽいなぁ、あの2人……。

あまり目立ちたくなかったけど仕方ない。さっさと終わらせて振袖を取り返すとしようか。


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