06
「わぁ、綺麗!」
「どの振袖もステキ!」
キャッキャとはしゃぐ2人を微笑ましく思いながら、私は雅の隣を歩く。
ここにある振袖はその多くがポケモンをイメージしたものらしくて、デザインはマーシュさんが1から考えたんだって。
「サナ、見て! フォッコイメージの振袖があるわよ」
「ホントだ! あ、こっちはハリマロンだって!」
「では、こちらの水色の振袖はケロマツのイメージでしょうか?」
他にもフラージェス、ブラッキー、アゲハントなどなど。
彩り鮮やかな振袖がたくさんの女性客を惹き付けていた。
(あ……)
ふと視線を逸らした先にある、1着の振袖が目に留まる。
濃いピンクがところどころにあしらわれた、緑色の振袖だった。
(この振袖、色合いが何だか緑炎みたい。
本当に色んなポケモンをイメージしてるんだなぁ)
私ではまず考えられないような発想とデザイン力に感心する。
ポケモンの特徴をよく捉えた綺麗なデザインが、たくさんの女性を虜にするのも納得だった。
(いつか私も、こんな振袖を着てみたいなぁ……)
無理なことは分かってるし、願ったところで何か変わる訳でもない。
それでも少しだけ、女の子らしい夢を見るくらいは良いよね。
「フユカさん、向こうの方にも展示されてるみたいですよ!」
「あ、うん! 今行くか……」
セレナちゃんの私を呼ぶ声に返事をしようとした時、会場の一角で轟音が響いた。
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