08

その日の夜、晩ご飯を食べ終えた後にプラターヌ博士から呼び出された。

今日のジム戦のことで話がしたいと言われ、少し緊張しながら応接間の椅子に座る。

昨日の夜と同じように、博士は私にココアを入れてくれた。

「ジム戦で疲れてるのにごめんね、フユカさん」

「いえ、私よりも緑炎たちの方が疲れてると思うので。
……それで、どうでしたか?」

「うん、とても素晴らしいバトルだった。
君はポケモンたちを信じ、ポケモンたちも君を信じる。つい僕も手に汗を握って魅入ってしまったよ」

プラターヌ博士が優しい笑顔と一緒にそう言ってくれて、私は思わず胸を撫で下ろす。

"早速本題に入るんだけど……"と前置きして、博士は単刀直入に話を進めた。

「フユカさん、僕から君に渡したい物があるんだ」

「渡したい物?」

彼は白衣のポケットから、何かの箱を取り出す。

開けられたその中に入っていたのは、虹色の石で作られたブレスレットだった。

「わぁ綺麗! ……って、あれ?」

中央に配置された、他のものよりも大きな石の中に見覚えのある模様を見つける。

よく見ればそれは……以前アレックスさんから借りたキーストーンと同じ模様だった。

「は、博士……これってもしかして……?」

「そう、これはキーストーンだよ。
元々は義兄さんがシャルロットのために用意していた物なんだ」

(そういえば……前に見た夢に出てきた気がする!)

そ、そんな貴重な……しかも大事なものを、私に?

「そんな……そんな大事なもの、受け取れません!
それはシャルロットさんに渡すべきです。他人の私が渡される道理なんて……」

「僕は君に託したいと思ったんだよ。
だからこそ、本当に君がこれを託すに相応しいトレーナーかどうかを……この目で見たかった。
今日のジム戦で、君は期待以上の成果を見せてくれた。僕も安心して、これを君に渡すことができると確信したよ。
もし君が旅の途中でシャルロットと出会うことがあったら、その時は本人に渡してくれて構わない。
だからそれまで……預かってくれないかな?」

"ずっとここに置いていると、埃を被ってしまうしね"と博士は笑う。

ここまで言われてしまっては私も無碍にすることはできず、"……お預かりします"と言ってブレスレットを受け取る。

身に付けたそれが、妙にしっくりくることには気付かないフリをした。


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