03
「ここがミアレジム……」
街の中央にそびえるプリズムタワーの中に入ると、ポケモンジム特有の張り詰める空気にゴクリと息を飲む。
もう4回もジム戦をやってるはずなのに、この空気慣れないなぁ……。
「き、緊張する……」
「こんにちは! ミアレジムにようこそ!」
その場に似つかわしくないと思えるほどの幼い声に、思わず驚いて振り向く。
視線の先には、まだ10歳にもならないであろう女の子が立っていた。
「こ、こんにちは……。ジムリーダーさんいますか?」
「うん、いるよ。ちょっと待ってて、今呼んできてあげる!」
"お兄ちゃーん!"と元気に走っていった女の子の背中を見送る。
あの子、ジムリーダーの妹さんだったのか。
ジムの中にある大きな豆電球を眺めていると、パタパタという足音と一緒にさっきの女の子が現れる。
そしてその後ろでは、眼鏡をかけた男の子が歩いていた。
「こんにちは。ジムチャレンジャーの方……で、良いんですよね?」
「は、はいフユカです! よろしくお願いします!?」
「何でフユカが疑問形なんだよ」
「アハハ……。僕はミアレジムのジムリーダー・シトロンです。
バトルフィールドへ案内しますので、こちらへどうぞ」
シトロン君が"行くよ、ユリーカ"と女の子に声をかけ、彼女も"はーい!"と駆けていく。
天真爛漫な妹さんに、礼儀正しいお兄さん。良い兄妹だなぁ、あの2人。
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