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「"お屋敷"……。そうか、あの邸宅に行ったんだね」

「はい。緑炎がそこに宿泊させてもらえるよう話してくれて」

「じゃあ、あの家の当主のことも聞いたのかな?」

「……はい。緑炎やボスゴドラの剛さん、色んな人から話は聞きました。
先祖代々、セキタイタウンで番人を務めてきた一族だって」

「なるほど。緑炎と剛が君にあの家の事を話したのなら、僕も腹を括るべきなんだろうね」

すると彼は小さくため息をついて、小さく笑った。

"僕の話に付き合ってくれるかい?"と言う博士に同意するように頷くと、彼はコーヒーを1口飲んで口を開いた。



「昔あのお屋敷には、姉夫婦が住んでいたんだ。
僕の姉が当時の当主だったテオドールさんと結婚してね。義兄さんは義弟の僕にも本当に良くしてくれた」

そう昔語りをする博士の顔は、過去をとても懐かしんでいるようだった。

あの日の夢に見たから、とても仲の良い関係だったのは想像に難くない。

「義兄さんは若い当主だったけど、とても人望があったから町の人たちからも人気者だったんだ。
僕の研究費用や、フラダリさんの資金繰りを援助してくれたこともあったっけ。
困ってる人を放っておけない性格の人だったからね」

懐かしいなと笑いながら話す博士の表情が、"けれど……"という言葉と同時に曇った。


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