07
買い出しに向かった緑炎、龍矢と別れて研究所に戻る。
まずは博士に軽く挨拶して、借りている部屋に荷物を降ろした。
部屋は私がここを旅立った時のままで、不在の間も定期的に掃除してくれた痕跡が伺える。
(何か、実家に帰ってきたみたいな安心感があるなぁ)
雅たちをモンスターボールから出して、夕飯の時間まで自由に過ごしてもらうことにした。
悠冬は氷雨と久しぶりに会えて嬉しそうにしていた。氷雨の種族はグレイシアだし、同じ氷タイプ同士で話も合うんだろう。
烈も彩も、みんな元気そうで良かった。あ、そういえば……。
「烈、アレックスさんと水姉さんは?」
「アイツらは買い物に行ってもらってんだよ。砂糖を切らしてたのを忘れててな」
"もうそろそろ帰ってくる頃だろ"の言葉と同時に、バタン! という音が部屋に響く。
勢い良く部屋に飛び込んできた水姉さんに思い切りハグされるのは、もはやお約束だ。
「フユカ! さっき"あなたの彼氏だ"とかいう男がいたんだけど、何かの間違いよね!?
緑炎と白刃がいるから変な虫は寄り付かないって思ってたのに、まさかあの2人の公認なの!?」
「ちょっと待って水姉さん! 何の話!?」
真っ青な顔で肩を揺さぶってくる水姉さんに、誤解だと叫ぶ。
全く! 孝炎に釘刺されてたっていうのに龍矢ときたら……。
「あぁ、良かった。私からフユカを奪おうなんて1000年早いわ!
この子はお嫁になんて行かせないんだから!」
「フユカはお前だけのもんでもねぇよ」
「あの、水姉さん。1つ聞きたいんだけど、その男の人って緑炎と一緒にいなかった?」
水姉さんは私の頭を撫でくり回しながら"うーん……"と首を傾げる。
「そういえば緑炎と一緒に、買い物カゴ持って歩いてたわね。
……ということは、あなたの手持ちポケモンなの!?」
ガーン! だかゴーン! だか聞こえてきそうな表情で、また顔面蒼白になった水姉さんだった。
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