04

「……これがカロスに残る物語です。
戦争が終結した後も、王は愛するポケモンを求めて長い年月を彷徨い続けているとか」

「……」

「旦那様は……歴代のレオンハルト家の当主は、ずっとこの地の番人を務めて来られました。
最終兵器を見付けさせないために。そして何より、悪用させないために」

テオドールさんの日記の1文が脳裏を過ぎる。

"これは俺だけが背負うべき宿命だ"と、確かに書かれていた。

国1つ破壊できるほどの威力を持つ兵器。だからこそ長い年月の中で代々隠し続けてきたんだ。

(フラダリさんは、そんなものを探してるの?)

最終兵器とイベルタルの力が組み合わさった時、カロスは……世界はどうなってしまうんだろう。

背中に薄ら寒いものを感じてしまって、思わず身震いする。

それを見たシャルルさんが"屋敷へ戻りましょう"と言った時、彼の後ろに大きな影が現れた。

「っ!? フユカ様、私の後ろに」

シャルルさんが私を後ろに庇い、3mはあろうかという人影を睨む。

でもその人の視線は私たちではなく、古代遺跡に向けられていた。



「ポケモン……花のポケモン……。
永遠の命を……与えられた花のポケモン……」



うわ言のように呟いたかと思うと、そのまま何も言わずにどこかへ歩いていった。


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