02
(はぁ、涼しい……)
静かで真っ暗な中を1人で歩く。足は自然とあのストーンサークルへ向かっていた。
本当ならこんな時間に歩いてたら、ジュンサーさんに補導されるんだろうな。
(もう1度ここに来れば、もしかしたらあの声が聞こえるかと思ったけど……)
大きな3つの列石を眺めながら、時間が静かに過ぎていく。
でも待てど暮らせど、あの声が聞こえてくることは無かった。
(やっぱり、そう上手くはいかないか……)
サァ……と音を立てながらそよ風が吹き、私の髪を揺らす。
その時、後ろの方からコツコツと靴音が聞こえる。
恐る恐る振り返ると、シャルルさんがこっちに向かって歩いてくるのが見えた。
「こちらにいらっしゃいましたか、フユカ様。
今夜は冷えます。それに、女性がこのような時間に1人で出歩くのは危険ですよ」
「ごめんなさい。ちょっと寝付けなくて……」
シャルルさんが私の肩に自分の上着を羽織らせてくれる。
「何か、この遺跡に気になることでも?」
「はい、まぁ……。シャルルさんは、ここが何のために作られたのか知ってるんですか?」
シャルルさんは私の問いかけに対して、"そうですね……"と笑みを返す。
「僭越ながら、カロスに残る物語をお聞かせしましょうか」
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