01


月が上り、草木も寝静まる夜。

私は何となく寝付けなくて、雅を起こさないように部屋を出た。

食堂に行って水を飲み、月の光が差し込む廊下を歩く。

大きな窓から外を見ると、視線の先にはみんなと見に行ったストーンサークルが見えた。

(あの時聞こえた女の子の声……。あれはシャルロットさんなのかな……?)

あの時、彼女の声は確かに"思い出して"と言っていた。

私が何かを忘れてるってこと? 何を思い出したら良いの?

(私は何を忘れてるの? それに……)

前に蒼真も言ってた。私はどうして緑炎の名前を言い当てられたんだろう?

彼の名前はテオドールさんの日記にも書かれていたから、シャルロットさんが付けた名前であることは確認しなくても分かる。

それなのにどうして……。

(あー、ダメだ。このままだと余計眠れなくなりそう。
……ちょっとだけなら、良いよね?)

私は足音を殺して玄関に向かい、夜のセキタイタウンへ足を踏み出した。


[*prev] [next#]






TOP
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -