02
○月△日
あと数ヶ月もすればシャルロットと緑炎の誕生日だ。あの子たちが生まれて、もう6年になるのか。
シャルロットはプラターヌの研究に興味津々で、"いつか緑炎と一緒に旅に出る"と言っていた。
自分もメガシンカを使えるようになって、俺とプラターヌの仕事を手伝うのだと。
プレゼントはもう決めてある。これがあの子たちにとって大切な宝物の1つになると良いが……。
○月□日
今日、新しい執事を雇い入れた。名をニコラと言い、最近この町に来た少年だ。
この屋敷へ盗みに入ったところを偶然シャルロットに見られて、仕方なく誘拐しようとしたらしい。
ジョゼフとコジョンドに叩き伏せられた後で話を聞いた。
ニコラは貧しい家で育ち、母親と妹の3人で暮らしていたらしい。
母親が必死に働いたものの生活は苦しいままで、ついには過労で亡くなったという。
その後は彼が働き口を探したが、門前払いされるか低賃金での長時間労働を強制されたんだそうだ。
体が弱く病気がちだった妹のために必死に働いても貯蓄が増えることは無く、妹も大病を患って息を引き取った。
生きる意味を失ったニコラはそのまま不良少年となり、腕っぷしの強さからいつの間にか不良集団のリーダーになっていたらしい。
コマタナはその頃からの付き合いだという。
犯行を目撃したシャルロットに口封じしなかった……いや、できなかったのは同じ歳の頃だという妹と重なって見えたんだろう。
根は優しくて家族思いな少年だった。これまでのニコラの苦労は報われるべきだ。
だからこそ、更生することを条件に屋敷へ雇い入れた。
幸いにも酷いことをされなかったからか、シャルロットはニコラを"優しいお兄さん"だと思っているようだ。
この少年の教育期間が終わったら、あの子のボディーガードを任せるのも良いかもしれない。
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