08
シャーリーとのバトルは大接戦を極める白熱したものになった。
お互いが譲らず一進一退の攻防が続く。
「ドラゴンクロー!」
「それならこっちはドラゴンテール!」
ドラゴンクローとドラゴンテールが激しくぶつかり合う。
その衝撃で小爆発が起き、悠冬とガチゴラスがズザーッ! とそれぞれのトレーナーの元に戻る。
さすがチゴラスからガチゴラスに進化させただけはあるな……。
「ガチゴラス、バトルは楽しい?」
『楽しいって感覚はまだ分かんねぇけど、何かワクワクする!
こんな気持ち初めてだ。ありがとな、フユカの姉ちゃん!』
良かった、ちゃんと楽しめてるみたい。
でもガチゴラスも悠冬も、体力は限界。バトルもそろそろ終盤かな?
「悠冬、原始の力!」
「噛み砕く!」
ガチゴラスが原始の力の岩を噛み砕きながら走ってくる。
甘えん坊でもやっぱりガチゴラス……良い意味で顎のパワーがとんでもないなぁ。
「そのまま諸刃の頭突き!」
「これで決めるよ、悠冬! 全力で冷凍ビーム!」
冷凍ビームの青い光がガチゴラスに直撃する。
そのままガチゴラスの身体を氷が覆い尽くし、目を回して倒れた。
「ガチゴラス戦闘不能、悠冬様の勝ち! よって勝者・フユカ様!」
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもので。
少しでも長く戦っていたいバトルだったな。
って、いけない。ガチゴラスを助けてあげなきゃ。
「白刃、火炎放射で氷を溶かしてあげて」
「は、仰せの通りに」
擬人化を解いた白刃が放った火炎放射で、ガチゴラスの身体を包んでいた氷が融けていく。
ガチゴラスは頭部が出てきたところで、"寒ぃぃぃ! 冷てぇぇぇ!"ってちょっと涙目だった。
ごめん、ガチゴラス。氷は4倍ダメージだもんね……。
ジャンさんのファイアローとクロエさんのプクリンも手伝ってくれて、予想よりも遥かに早く氷からレスキューできた。
プクリンって火炎放射覚えるんだ。初めて知った……。
「お疲れ様、ガチゴラス。やっぱり、フユカちゃんは強いな……」
『やったー! 勝てたよフユカ、褒めて褒めて!』
「うんうん、悠冬も頑張ったね! 初勝利だよ!」
お腹にグリグリと頭を擦り付けてきた悠冬を撫でる。
その後ガチゴラスと一緒にクロエさんの治療を受けに行った。
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