02
食堂でお水をもらって喉を潤した後、再び日記を読むべく部屋に向かう。
するとその途中、パリーンと何かが割れる音が聞こえた。
(ここ、シャーリーさんの部屋だよね?)
音の出どころは、シャーリーさんの部屋。
確かここには彼女のポケモンがいたはずだ。
他に物音はしないけど、もしかしたら具合を悪くしてるのかもしれない。
でも、今私がこの部屋に踏み込んでも良いんだろうか?
シャーリーさんの気持ちを考えれば、勝手に部屋に入られて良い気はしないはずだ。
すると突然、部屋の中から啜り泣くような声が聞こえてきた。
(もしかして、割れた破片でケガを!?)
よし、ここは腹をくくろう。勝手に部屋に入るんだから、たとえ責められても自分の責任だ。
ドアノブに手を掛け、意を決して開け放った。
「え……えっ?」
そこにいたのは、身体の大きなポケモン。ガチゴラスだった。
部屋の床にはティーカップだったと思わしき破片が散らばっていて、彼(彼女?)は部屋の隅で目を潤ませている。
『ご、ごめん姉ちゃん! 大事にしてたカップ割っちゃった!』
パニックの中で私をシャーリーさんと勘違いしているのか、ガチゴラスはポロポロと涙を流しながら近付いてきた。
「君、大丈夫? ケガとかしてない?」
『俺は大丈夫……って、あれ? 姉ちゃん、誰?』
私がシャーリーさんじゃないことに気付いたのか、コテンと首を傾げるガチゴラス。
か、可愛いな……。
「ちょっと待っててね。シャーリーさん呼んでくるか……」
ら、と言おうとして背後で何かが落ちる音が響く。
ビックリして振り向くと、顔を真っ青にしたシャーリーさんが立っていた。
足元には空のバケツが転がっていて、さっきの音はそのバケツだと分かる。
ガチゴラスが"あ、姉ちゃん!"ってアワアワし始めた。
シャーリーさんはガチゴラスと私を交互に見ると、そのままお屋敷を飛び出していってしまった。
ガチゴラスに"部屋でじっとしてて"と言って、私はシャーリーさんを追い掛けた。
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