05

ジョゼフさんに書斎に入る許可をもらって、気になる本を片っ端から読んでみたものの……。



「難しすぎてほとんど分かんなかった……」



そう。内容はともかく文言が難しくて、さっぱり頭に入ってこなかった。

辛うじて分かったのは、レオンハルト家が3000年前から続く家柄であること。

その時代のカロス王家に仕えていた神官の系譜であること。

そして"最終兵器"を封じる番人を先祖代々務めていること。

(最終兵器って、何なんだろう?
兵器って言うくらいだから危険なものなのは想像できるけど……)

それに文献の中に少し出てきた"イベルタル"のワード。

確かイベルタルは、伝説では"死を象徴するポケモン"だって伝わってたはずだ。

(レオンハルト家がイベルタルと繋がりがあるってこと?)

詳しいことは書かれてなかったから自己解釈で想像するしかないけど……。

レオンハルト家とイベルタルの間に何か因縁? があることは明らかだった。

蒼真と一緒に書斎を出て裏庭に向かうと、ちょうど剛さんが地下通路から出てきたところだった。

「あ、剛さん」

「おぉ、フユカの嬢ちゃんか」

「誰……?」

あ、そうか。蒼真は初対面だっけ。

剛さんがテオさんの相棒ポケモンだと説明すると、彼は納得が行った表情で"よろしく……"と挨拶した。

「そういやジョゼフから聞いたが、この家のことを調べているらしいなぁ」

剛さんの目がスゥと細くなっていくのを見て、初めて見せるその表情に思わず背筋がヒヤリとする。

余計なことを言った瞬間、後ろから刃物で刺されると息を飲んでしまうような目付きだった。

「嬢ちゃん……いや、フユカ。何のためにこの家の歴史に触れようとする?
レオンハルト家の真実を知って、お前さんはどうするんだ?」

その言葉と同時に、彼に試されていることを悟る。

レオンハルト家のことを知るに相応しい人物なのかどうかを見定められている。

いくら緑炎がシャルロットさんのことを私に話したからといって、剛さんたちにとって私は部外者でしかないんだから。

相棒であるテオさん……テオドールさんの意志を守ろうとする彼の青い瞳は、まっすぐに私を射抜いていた。


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