03
「お帰りなさいませ、緑炎様」
緑炎……"様"!?
理解が追い付かずに目を白黒させてしまう。
「あぁ、今戻った。……アイツは?」
緑炎の問いかけに、執事さんは静かに首を横に振った。
「残念ながら……」
「……そうか。今日は世話になる」
「今日と言わず、何日か過ごして疲れを癒されては?」
「そうだな、考えておく。
だがまぁ……最終的に決めるのは俺じゃない」
少しだけ眉を下げて緑炎が笑う。
イタズラがバレたのを誤魔化す時みたいな笑顔で、初めて見る顔だった。
メイドさんが小さく"執事長"と呼び掛けると、その人は小さく頷いて私に向き直る。
「大変失礼いたしました、フユカ様。
私はこの屋敷で執事長を勤めております、ジョゼフと申します。
貴方様のことは緑炎様より伺っておりますので、どうぞごゆるりとお寛ぎください」
「は、はい……ありがとうございます」
「ご滞在の間、男性は我々執事が、女性はメイドが身の回りのお世話をさせていただきます」
「分かりました」
じゃあ雅たちもボールから出した方が良いよね。
全員がボールから出てきて擬人化する。
みんなポケモンセンターとはまた違う内装に、とても興味深そうに見回していた。
「へぇ。デカい屋敷だとは思ってたけど、こんな可愛い女の子がいるとは知らなかったなぁ。
というわけでそこのお嬢さん、後で俺とお茶しない?」
「仕事がありますので遠慮いたします」
お、おぉう……結構ズバッと言うメイドさんだな。
それともチャラい男性が苦手なのか。
「あれま、つれないねぇ。じゃあ仕事が終わってかrあだっ!?」
「良いからいくぞ、この節操無し。それでは姫、また後ほど」
「うん。町の散策は明日にするから、今日はゆっくり休んで」
白刃が龍矢の首根っこを掴んで緑炎たちについて行く。
"ちょ、白刃! 首、首締まる!"って叫びながら引き擦られていった。
「あの、何かすみません。……えっと?」
「いえ、お気になさらず。
申し遅れました、メイド長のエルザと申します。
部屋へご案内いたしますので、どうぞこちらへ」
ホッ……怒らせたわけじゃなくて良かったよ。
雅と一緒にエルザさんについて歩く。
今のうちに道を覚えて、迷わないようにしなきゃ!
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