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雅と悠冬、蒼真をジョーイさんに預けて、緑炎と一緒に買い物へ出かける。
今日の夕食に3人の好物を作ろうということになって、私も緑炎に教えてもらいながら手伝うことにしたのだ。
そしてその帰り道、2人で今後の方針を話し合う。
「で、今後はどうすんだ?
ミアレジムを目指すなら、13番道路を通ってミアレシティに向かうのが近い」
「それなんだけどさ。遠回りになるけど、行ってみたい町があるんだ」
「行ってみたい町?」
「うん、セキタイタウンに行ってみたいんだよね。
そういえば行ったこと無かったなーって思ってさ」
"セキタイタウン"と聞いたとたん、緑炎の歩みが止まる。
不思議に思って振り返ると、その顔には驚きと痛々しさを感じるような色が浮かんでいて。
「緑炎?」
どうしたの、と聞きかけて……私はあることを思い出した。
(そういえば、緑炎が探してる女の子ってセキタイタウン出身なんだっけ……)
ならセキタイタウンは緑炎にとって思い入れのある場所には間違いない。
それと同時に、悲しい出来事を思い出してしまう場所であることも……。
「……やっぱり、やめにしようか?
ちょっと残念だけど、緑炎にとっては嬉しかったことも悲しかったこともある町なんだもんね。
セキタイタウンは逃げないし、緑炎の気持ちが落ち着いてからでも遅くないから」
「……いや。行くか、セキタイタウン」
「え、本当に?」
てっきりセキタイタウンには行きたくないのかと思ってたけど……。
「お前が言ったんだろ、行ってみたいって」
「確かに言ったけど……。無理してない?」
「無理なんてしてねぇよ。
それに、俺と入れ違いでアイツが戻ってきてるかもしれねぇだろ」
それだけ言うと、緑炎はポケモンセンターへの道を足早に歩いていく。
私は慌ててその背中を追いかけた。
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