07

悠冬をモンスターボールに戻し、労いの言葉をかける。

初めてのジム戦なのに本当によく頑張ってくれたよ、悠冬。

次は誰を出そう? 相手が地面技を覚えている以上、有利に戦えるのは雅だけか。

そう思って雅のモンスターボールに手をかける。

けれど、その隣のモンスターボールが"自分を出せ"と言うように激しく揺れた。

少し……いや、本音を言えばかなり悩んだけど、やる気を無視するのも憚られて。

だから私は、この1戦を彼に託した。



「蒼真、Saisir la victoire!」

『悠冬の頑張り……無駄にしない……!』



蒼真は相性の良さもあったとはいえ、2戦目のウツドンとのバトルで体力を消耗している。

迂闊に近付いて反撃されてしまったら、蒼真も危ない。

「さて、不要な氷は片付けてしまおうか。日本晴れだよ」

『はい』

ゴーゴートの日本晴れを受けて強まった日差しが、フィールドを覆った氷を融かしていく。

元々そこまで厚くなかった氷は、たちどころに融けて無くなってしまった。

……まぁ蒼真も氷の上では自由に動けないから、ありがたいと言えばありがたいけど。

とにかく、今はジム戦に集中しなくちゃね。

「次は突進だ!」

「サイコキネシス!」

地面に着地するのを見たフクジさんがすかさず地ならしを指示したけど、さっきと同じようにはならない!

地ならしはああ見えて物理技。だったら……!

「足元にリフレクター!」

地面からダメージを受けてしまうなら、足元を防御すれば良い。

思惑は上手く行ったようで、リフレクターを足場にすることで衝撃を免れた。

「あのリフレクターを何とかしないとな。ゴーゴート、草結び!」

草結びで蒼真がリフレクターの足場から引きずり下ろされ、そのまま突進を喰らってしまった。

彼の体力も大きく削られているから、次で決めなければ戦闘不能になってしまう。

「さて、突進で終わりにしようか」

フクジさんの指示を受けたゴーゴートがものすごいスピードで突っ込んできた。

どうする……。サイコキネシスで妨害しても、フクジさんはすぐに次の手を打ってくる。

どうしたらいい……?



『……ぅ……ぅああああっ!!』



「蒼真!?」

突然蒼真が大声を出したかと思うと、ゴーゴートに向かってリフレクターを展開した。

『僕は……僕は、決めたんだ……。強くなるって……。
緑炎や、雅や、白刃と同じくらい……フユカのポケモンとして恥ずかしくないように……。
フユカの笑顔を……守れるように!』

突進を防ぎながら絶叫するように想いの丈を放った彼のリフレクターは、もはや壁と形容するべきものではなくなっていた。

蒼真が自分の信念のため……彼の守りたいもののために掲げる、"盾"と呼ぶに相応しいものに変化を遂げていたのだ。

そして蒼真自身にも、新たな変化が起きた。


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