06
その後のウツドンには、蒼真がタイプ相性を活かして善戦してくれた。
これでフクジさんのポケモンはあと1体。どんなポケモンを出してくるんだろう?
「最後の1体になってしまったか。ここまで追い詰められたのは、いつ以来かな?」
その言葉とは裏腹にフクジさんは笑顔を絶やさず、余裕すらあるように見える。
でも、それに気圧されてちゃだめだ。最後まで油断せずに戦わなきゃ。
蒼真をモンスターボールに戻し、次のボールを構える。
この子にとっては、初めてのジム戦だ。
「さぁ、最後までバトルを楽しむとしようか。
頼んだよ、ゴーゴート!」
『お任せ下さい、マスター』
フクジさんが最後に繰り出したのはゴーゴート。
初めて見るポケモンだけど、メェークルの進化系なのかな?
「悠冬、Saisir la victoire!」
『だこーる!』
……悠冬、それは白刃の真似かい?
可愛いけど、そんなところまで真似しなくて良いんだよ。
タイプ相性では悠冬に利があっても、油断はできない。
「ゴーゴート、突進!」
「冷凍ビームで地面を凍らせて!」
悠冬の放つ冷凍ビームで簡易的なスケートリンクが完成する。
ゴーゴートの蹄では満足に動くことは出来ないはずだ。
「おやおや、これはしてやられたね。さてどうするか……」
「畳み掛けるよ、原始の力!」
『えーい!』
氷上でツルツルと足を滑らせているゴーゴートに原始の力が飛んでいく。
草タイプに岩タイプの技は効果が薄いけど、相手の能力を下げる追加効果に賭けた。
「ゴーゴート、受け流しなさい」
『はい!』
襲い来る岩を受け流し、そのままの流れで氷の上を滑っていくゴーゴート。
その目線の先は──
「よしよし、上手く行ったようだね」
あえてこっちの技を受け流したのは、凍ってないところまで滑っていくためだったんだ!
地面の上にさえ立ってしまえば転ぶこともないし、相手は接近戦に持ち込むしか方法がない。
「可愛らしいポケモンに傷を付けるのは胸が痛むが、これもジムリーダーの務め。
ゴーゴート、"地ならし"でトドメだよ」
「しまっ……!?」
地ならしの技のことは嫌というほど知ってる。
さっき原始の力で下げた能力を加味しても、氷・岩タイプの悠冬には大打撃なわけで。
激しい揺れに耐えられず、悠冬は戦闘不能になってしまった。
[*prev] [next#]
TOP