03
空から突然、銀色のビームのような何かが牧場を直激した。
途端に牧場全体がパニックに陥り、メェークルたちは蜘蛛の子を散らすようにバラバラに逃げていく。
「うわっ!? 危ないなぁ、もう!」
『オーッホッホッホ!
お久しぶりメェークルたち、今日もここのエサは頂いて行きますわ!』
「エアームド!? くそっ、よりによって鋼・飛行タイプかよ!」
あのメェークルの言った通りだった。本当にここのエサを狙いに来るなんて。
『誰かのご飯を横取りするなんて、僕怒った! 冷凍ビームお見舞しても良いよね!』
「悠冬ストップ! 鋼タイプ相手にバトルさせられないよ!
蒼真と雅は悠冬と一緒にメェークルたちを避難させて!
エアームドは私たちが引き受けるから」
「分かりました。行きましょう、蒼真」
「うん。メェークルたち、こっちだよ……」
雅たちに連れられて建物に入っていくメェークルたちを確認してエアームドと対峙する。
緑炎と白刃は既に擬人化を解いてスタンバイしてくれていた。
『あら、あなたたち見ない顔ね。特にそこのアブソル、とてもアタクシ好みでしてよ?』
ぎ、逆ナン!? バトル始まって最初のセリフがそれなの!?
緑炎が"面倒そうな女に好かれたなお前"って顔で白刃を見る。
『俺の身も心も忠誠も、全ては姫に捧げし物。貴様のような狡い女など死んでも願い下げだ』
うん、今はとっても心強いよその言葉! 普段は恥ずかしすぎて死にそうになるけどね!
『へぇ、そう。ならこのバトルで勝ったらエサを諦める代わりに、あなたをいただこうかしら?
毎日側に侍らせて、更にアタクシ好みに調教してあげますわ。
そこのトレーナー、それでよろしくて?』
「良いわけあるかぁぁぁ!!」
急に何てこと言い出すんだ、あのエアームドは!?
それで私が"はい、そうですか"って言うとでも思ったの!?
『姫、ご安心を。
私は姫に忠誠を誓った身。姫以外の女性に靡くことなど絶対にありえません』
『まぁ健気だこと。
でもアタクシ、欲しいと思ったものは手に入れるのがポリシーですのよ。
2対1だからといって、ゆめゆめ油断しないようにお気を付けあそばせ?』
私たちとエアームドの、白刃を賭けたバトルが始まった。
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