01
ランチタイムを終えて再びヒヨクシティに向けて出発する。
歩いて1時間ほど経ったところで、小さな牧場が見えてきた。
「海辺の牧場なんて、珍しいね」
『見たことないポケモンがいっぱいいるー! ねぇねぇ、何てポケモンなの?』
『あれはメェークル、俺と同じ草タイプのポケモンだ』
看板に"メェール牧場"と書かれたその牧場では、たくさんのメェークルたちが思い思いに日向ぼっこを楽しんでいる。
座って海を眺めている子もいれば、数匹で集まってお喋りをしている子、寝返りを打ちまくったのか見事なヘソ天で爆睡している子もいた。
"みんなのびのびしてて楽しそうだなー"って眺めていたら、ふと目が合ったメェークルがトコトコと歩いてきた。
『君そんなところで立ってないで、こっちおいでよ。もしかして、ここは初めて?』
「えっ? う、うん……。どこに入口があるの?」
『あそこに小屋があるでしょ? 入ってすぐの受付に言えばオーナーが案内してくれるよ』
「そうなんだ。教えてくれてありがとう」
メェークルに教えられた通りに小屋で受付を済ませると、優しそうなおじさんが案内してくれた。
でも今はメェークルたちのお昼寝タイムらしくて、待っている間に建物の中を見学させてもらった。
「へぇ、メェークルの背中に乗れるみたいだよ」
『本当!? 僕乗ってみたい!』
壁に貼られたポスターには、メェークルの背中に乗った子どもたちの写真があった。
人を乗せることが好きなポケモンみたいだし、私もちょっと興味出てきたな。
「せっかくだし、体験していこうか。良いよね、緑炎?」
『まぁ良いんじゃねえか?』
『わーい! ありがとう、緑炎!』
ボールの中から飛び出てきた悠冬が受付へと駆け込んでいく。
私は慌ててその背中を追い掛けた。
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