04
長くて短いような数秒の沈黙の後、緑炎は観念したようにポツポツと話を再開した。
聞けばその女の子も10年前から行方不明になっているらしくて、緑炎は彼女を探すためにカロスを旅して回っているらしい。
「アイツを探すことを決めた時の俺は、バトルの経験も皆無のキモリだった。
だからアレックスの手持ちに入れてもらって経験を積んで、ジュプトルに進化してからは自分の脚で探してるんだよ」
「10年間もその少女を探して歩いていたとは……」
「本当なら、その子と一緒にいるはずだったんだよね?
私のポケモンになっちゃって、良かったの?」
「まだアイツのことを諦めた訳じゃねぇが、別にお前のポケモンになったことを後悔はしてねぇ。
何つうかお前、似てるんだよ。アイツに」
私が、その女の子に?
「そんなに似ているのですか?」
「似てるなんてレベルじゃねぇ。見た目も性格も"似過ぎてる"くらいだ。
#name1#の名前を聞くまで、アイツ本人なんじゃねぇかって思ったくらいにはな」
「そ、そうなんだ……」
そんなにそっくりさんなら、ちょっと会ってみたかったかも。
「だが、お前は自分の名前を#name1#だと名乗った。
ならアイツはまだこの世界のどこかにいるってことだ。
何年掛かろうと、諦める訳にはいかねぇ。アイツが……俺にとっては1番大切な家族だからな」
そう語る緑炎の目には、強い意志が秘められていて。
その光は、彼の名前のように炎の如く燃えていた。
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