02
「んーっ、良い天気!」
雲1つない晴天の下を海に沿って歩いていく。
次の目的地はヒヨクシティ。そこもシャラシティみたいに海沿いの街なんだって。
「緑炎はヒヨクシティに行ったことあるの?」
『……何でんな事聞くんだ?』
質問に質問で返さないでくれるかな!? ってか、今の間は何さ?
「アレックスさんにお世話になったことがあるって、前に話してたじゃん。
……あれ、ってことは緑炎ってアレックスさんのポケモン?」
『違ぇよ、んな訳ねぇだろ。
確かにアレックスんとこにいたこともあるが、あくまでトレーナーはお前だ』
「そ、そうなんだ……」
それなら大丈夫……なのかな?
良かった、人のポケモンと勝手に旅しちゃってたのかと思ったよ。
『ヒヨクシティなら何度も行った。っつうか、ダテに1人でカロスを渡り歩いてねぇよ』
「1人で?」
てっきりアレックスさんと一緒に行ったのかと思ったけど……。
『野生のポケモンが……しかもカロスに生息例の無い種族が各地を渡り歩くというのは、聞いたことがないな』
『ジュプトルがカロスに生息してないって、よく知ってたな』
『以前、姫からそう伺ったのだ。
ジュプトルは本来、ホウエン地方にしか生息していない種族だと。
だからこそ、お前が何故"カロス"という土地で姫のポケモンとなったのか……ずっと疑問だった』
自分で白刃に説明しておいてアレだけど、私もそのことは不思議に思っていた。
何故緑炎はカロスにいて、あの日私と出会ったのか。
詮索するつもりは無いけど、もし緑炎が何かしら抱え込んでいるなら少しでも聞かせて欲しい。
「ねぇ緑炎、聞かせてくれないかな? 1人でカロスを旅してた理由」
『僕も聞きたーい! ねぇねぇ、何で緑炎はカロスに来たの?』
『悠冬、無理に聞いたらダメ……』
緑炎が口をつぐんでしまう。そ、そんなに聞かれたくないことなのかな……。
雅が"無理はなさらないでくださいまし"と声を掛けると、緑炎は大きなため息をついた。
『わーったよ、全部話す。
だが、一部話せないことがあるのだけは頭に入れてくれ。
その前に昼飯の準備すんぞ』
"それ、全部じゃないじゃん"と思ったことは言わないでおいた。
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