03
コンテスト出場の手続きを済ませ、控え室でドレスに着替える。
焔と誠士には控え室の外で待機してもらった。
いや、一応性別とか……ねぇ?
「わぁー! レイナさん、とっても似合ってますよ!」
「やっぱり私の見立てに間違いはなかったわ!」
いつもの動きやすい服装から一転、どっかの晩餐会とか立食パーティにでも着ていくようなイブニングドレスに早変わり。
裾はそんなにふんわりとしてるわけではなく、ギャザーがあしらわれた水色のドレスだ。
「ちょっと大人っぽ過ぎるような……。2人はどう思う?」
「とっても似合ってる! 自信持って!」
「そうかなぁ。変じゃない?」
「大丈夫、変じゃないよ」
「レイナさんは、このタイプのドレスが似合うと思ったのよ!
さ、外で待ってる2人にも見せましょう! 焔君と誠士君、入ってきて!」
「え!? アヤコさん、ちょっと待って「失礼します」……あぁっ……」
入ってきた……入ってきちゃったよ……。
來夢たちに見せるのも恥ずかしかったのに、誠士たちに見せるとか心臓が飛び出そう……。
「……」
ほら、誠士は目を見開いて固まってるし、焔は……って焔はいずこ?
「誠士ー? 入口で止まられたら僕が入れないよー」
「! す、すまない……」
あ、誠士の後ろにいたのか。入口で立ち往生されたら、そりゃ入れないわ。
「わぁー! レイナ、すごく綺麗だよ!」
今ほど焔の無邪気さをありがたいと思ったことはないかも……。
「ありがとう。お世辞でも嬉しいよ」
「お世辞じゃないんだけどなぁ。ホントに綺麗だもん。
ね、誠士もそう思うでしょ?」
「あ、あぁ……。その……よく似合っている……」
「あ、ありがと……」
うわぁ、誠士の顔真っ赤。
茹でダコみたい……じゃなくて、そんなに恥ずかしそうにされるとこっちも恥ずかしくなってくるんですけど。
「レイナさん、みんなこう言ってるんですから大丈夫ですよ!
私の方こそ、変じゃないですか?」
「全然大丈夫! すっごく似合ってる!」
イブニングドレスの私に対して、ヒカリちゃんはピンクのカクテルドレス。
フリルや花があしらわれていて可愛い。
こんな女の子が花畑にいたら、花の妖精と見間違うんじゃなかろうか。
「そういえば、2人ともパフォーマンスは決まった?」
アヤコさんの言葉に、ハッと我に返る。
今回のコンテストはダブルパフォーマンス。一応考えてはいるけど、成功するかどうかは來夢と笑理にかかっている。
「一応決まってるんですけど、少し自信なくて……」
「パフォーマンスや技の精度も大切だけど、1番大事なのは自分のポケモンを信じることよ。
そうすれば、ポケモンも必ず応えてくれるわ」
やっぱり、やる前からウジウジするなんて私らしくない。
私にはポケモンがいてくれる。來夢と笑理を信じて、もっと堂々としなくちゃ!
「はい、頑張ります!」
「あたしもポッチャマとムックルを信じて頑張るね、ママ!」
「2人ともその意気よ! じゃあ、私たちは観客席に行ってるわね」
アヤコさんは焔と誠士を連れて観客席へと向かった。
お互いのポケモンをモンスターボールに戻し、舞台裏へと移動する。
コンテストの司会者がステージに立ち、観客に向けて挨拶をしている。
「ヒカリちゃん、お互い頑張ろうね」
「はい、次に会う時はファイナルステージで」
コンテストの開幕を宣言するアナウンスが、舞台裏に響いた。
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