04


「ナエトル、葉っぱカッターよ!」

「こっちは火の粉!」

葉っぱカッターと火の粉が上空で小さな爆発を起こす。

「次は火炎車!」

「リフレクター!」

リフレクターの効果で火炎車のダメージが半減される。

『草タイプなのに手ごわい……!』

『あれ、草タイプだからってナメない方が良いよ。
これでもナタネと一緒に色んなトレーナーと戦ってきたんだからね』

ヒョウタさんの時も思ったけど……さすがジムリーダーだ、生半可な攻撃は通じない。

こうなったら……!

「焔、火の粉!」

「葉っぱカッターで迎え撃って!」

最初の爆発よりも大きな爆発が起こり、上空で煙が上がる。

やるなら今しかない!

「焔、そのまま全力で火炎車!」

『了解!』

未だ渦巻く黒煙の中から炎が勢いよく吹き出し、本日3回目の爆発を起こしてナエトルを吹っ飛ばした。



ちょっと待て、焔。



"全力で"とは言ったけど、"爆発を起こせ"とは言ってないよ。

ジムを壊す気か。

「ナエトル!」

ナタネさんの声にハッとしてナエトルが吹っ飛んでいった方を見ると、ナエトルは目を回して倒れていた。

「ナエトル、戦闘不能! ヒコザルの勝ち!」

「お疲れ様、ナエトル。ゆっくり休んで」

『僕勝ったよ、レイナ!』

「よく頑張ったね! ……って言いたいところだけど、あれはちょっとやりすぎだよ」

私が見た限り、マッハくらいのスピードで吹っ飛んでいったような……気がする。

シューンとした焔を眺めていると、"まぁまぁ"とナタネさんの声が聞こえた。

「ポケモンバトルだもの。戦っている以上、怪我は免れないわ。
あたしもポケモンたちも、そのことを承知でバトルしてるんだから気にしないで」

ナタネさん、優しい……!

何かナタネさんが聖女に見えてきたぞ。

「でも、次のバトルではそうはいかないわ。
行くわよ、ロズレイド!」

ナタネさんが繰り出したポケモンはロズレイド。

ロズレイドは草・毒タイプだから……焔でも十分戦えるけど……。

「焔、まだ戦えそう?」

『うん、大丈夫だよ!』

「次もヒコザル?」

「はい!」

「じゃあ、今度はこっちから行くわよ。
ロズレイド、雨乞い!」

「え、雨乞い?」

雨乞いは水タイプの威力を上げる技――。

草タイプのポケモンにとって、この状況は望ましくないはずなのに……。

「焔、何を仕掛けてくるか分からないよ! ひっかく攻撃!」

『了解!』

鋭い(?)爪を光らせてロズレイドに急接近していく。

するとナタネさんは、ニヤッと笑った。



「ウェザーボール!」



「しまっ……!」

至近距離からのウェザーボール。

天候が雨なので水タイプ……つまり、炎タイプの焔には効果抜群なわけで。

「ヒコザル、戦闘不能! ロズレイドの勝ち!」

焔は1撃で倒されてしまった。

焔をボールに戻すと、申し訳なさそうな声が聞こえた。

『ゴメン、レイナ。今までのダメージがあったとは言え、1撃で倒されちゃって……』

「ううん、焔はよく頑張ったよ。今はゆっくり休んでて」

「さぁ、レイナちゃん。これでお互い使えるポケモンは残り1体。
次はどんなポケモンを出してくるのかしら?」

「ここまで来たら……絶対に負けません!
來夢、レッツゴー!」


[*prev] [next#]






TOP
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -